「ごめんよー！」

とぼやきながら校長先生は消毒用アルコールで手もみして窓際の席へ。
その日は、生徒一人ひとり入室形式の「校長室卒業式」をしたそうだ。

さて、スコッチのオールドボトルに魅入られし先生のえくぼのウイスキー・・・、

「ディンプル・セラミック 1984ロサンゼルスオリンピック」



が、とうとう空っぽになった。

「何か次んの（用意）あんの？」
「もちろんです！」

店主が恭しくカウンターへ置いたのが



「ディンプル・ロイヤルディキャンター」

1984年に限定リリース、オランダの大手錫加工メーカーとタイアップした
商品でメタリックで鎧を纏ったような厳つい装飾が目印。
ボトルの装飾に採用されている錫という金属は毒性が無く、食器やグラス
など身の回りのものに多く使われてきた。
特に酒器としては、入れた酒の味がまろやかになるという評価もあるそうだ。

中身はコクと厚みのあるグレンロッシー、軽快で刺激のあるグレンキンチー
そしてマイルドでスウィートなグレーンの個性が渾然一体となった豊かな
味わいである。