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吾輩は、

◆乱読観聴備忘録/◆WHISKY

「 ニートじゃなくて高等遊民だ! 」



の、

流行語???

を生んだ月9ドラマで、主役の巧くんを演じた長谷川博己さんがNHKの
土曜ドラマ「夏目漱石の妻(全4話)」
で文豪・漱石を演じている。

没後100年の今年、巧くん役から転じて夏目金之助くん役って、その絶妙な配役は
長谷川博己しかない。
まさにソコ ・ ・ 、ソコこそがツボなのである。

まぁ、それはさて置き、第2話、国費で英国留学中に漱石は神経衰弱(ノイローゼ)に
なって、後に帰国する。
新橋駅に降り立つ(目つきがヤバい)辺りから、物語が面白くなる。



ガスに電気、汽車に地下鉄―――、  
文明が利便の陰でいかに人間の個性を踏みにじり息苦しくさせるものか、
ロンドンの漱石は二十世紀の病理を身をもって知らされた。


【 スコットランドの漱石/文春新書/多胡吉郎著 】



英国滞在でノイローゼになり疲れた漱石が、倫敦を脱出し保養にやって来たのが、
蘇格蘭の別天地ピトロクリ(ピトロッホリー)。
そこで、彼が飲んだシングルモルトが Blair Athol ブレア・アソール。



「 ピトロクリの谷は秋の真下にある。十月の日が、眼に入る野と林を暖かい染めた中に、
人は寝たり起きたりしている。十月の日は静かな谷の空気を空の半途で包んで、じかには
地にも落ちて来ぬ。と云って、山向へ逃げても行かぬ。風のない村の上に、いつでも落附
いて、凝っと動かずに霞んでいる―――(「永日小品」の「昔」から)」。



ブレア・アソールの甘いクッキーや香水のようなニュアンスとハイランドの豊かな
自然が漱石を癒した。

帰国直前のスコットランド訪問。
それがなかったら文豪は生まれていないかもしれない。



「 それから 」も、「 草枕 」も、「 吾輩は猫である 」も。

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